死刑囚と拘置所長らのやり取りを収めたテープについて説明する原告弁護団の植田
豊弁護士=2022年10月21日午後1時59分、大阪市北区、阿部峻介撮影
2日前に死刑の執行を告げられた死刑囚と拘置所長らの67年前のやり取りを収めたテープの記録が
21日、大阪地裁の民事裁判に証拠提出された。国に損害賠償を求めている死刑囚2人は、提出した
記録などをもとに「事前告知をしても問題はない。当日に告知している現在の運用は憲法に違反す
る」と訴える。
テープは1955年、大阪拘置所長が録音した。2日前に執行を告知し、「送別お茶の会」や「送別
俳句会」を開催。死刑囚が姉と面会し「笑って別れましょう」と伝えた後、絞首刑を執行したとみ
られる音声などが収められている。法務省は「このテープ以外に、告知から執行までを録音したよ
うなケースは承知していない」としている。
原告側は、不服を申し立てる時間を与えず、最後の別れもさせない当日の告知は「適正な手続き
によらなければ刑罰を科されないと定めた憲法31条に反する」などと主張。国側は、遺体や遺品の
扱いをめぐる意向確認などのために告知しているだけで、死刑囚には告知を受ける法的な権利はな
いと反論。原告の請求を退けるよう求めている。(阿部峻介)
窓越しに「先ほどお召しの通知」
原告側は、テープに録音された事例のほか、執行前日までに告知した事例が4件あると主張して
いる。
最も古い71年の事例は執行…